2012年7月25日水曜日

拾ってきた動物をペットとして飼っていいのか


Q近所で見知らぬ犬を拾いましたが,この犬を自分のペットとして飼っていいのでしょうか?

Aその犬に飼い主がいない場合には可能です。ただし、飼い主がいるかどうかについては慎重に判断しましょう。

飼い主にとっては,家族同然のかわいいペットですが,法律上は,動物は「物」として扱われています。
従って、捨て犬は、飼い主が所有権を放棄したということで誰の所有物でもなくなり、これを拾って飼うこと、つまりその所有権を取得することはできます。
 
 しかし、飼い犬が飼い主のもとから逃走したに過ぎない場合には、逃げ出したことのみで飼い主が所有権を失うわけではありません。
 その犬は「遺失物」という扱いになり、未だ逃げ出したペットの所有権は飼い主が持っている状態で、飼い主はこのペットを発見して自己のもとに戻す権利があります。
 他人が飼い犬を拾った場合には、飼い犬は拾った人に対して返還を請求することができ、拾った人は原則としてこれに応じなくてはいけません。
 また、刑法では、遺失物を横領することは占有離脱物横領罪にあたり一年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料という刑罰に処することになっています(刑法254条)。
現実には、飼い主のところから逃げてきた飼い犬なのか、飼い主に捨てられた捨て犬なのかはわからないことの方が多いでしょう。
従って、見知らぬ犬を保護した場合には、基本的には飼い主がいるものとみて、「遺失物」とみるのが安全です。

「遺失物」に関しては、「遺失物に関する法律」の適用があり、動物の落し物の場合にもこれまでは警察に届け出ることとなっていました。
しかし、平成19年の遺失物法の改正(4条3項)により、犬と猫については動物愛護管理法(35条2項)の適用を受けることとなり、地方自治体が対応することとなりました。

たとえば,東京都の場合は、「東京都動物愛護相談センター」が対応しているので、下記のリンクを参照してみて下さい。

飼い主不明の犬を拾った場合は、動物愛護相談センターに連絡し引き取ってもらった上で、7日間の収容期間中に飼い主が現れなければ、拾った者に飼い方を指導し、後記の飼い犬登録を確認した上で犬を引き渡しているようです。

質問のケースの場合でも、お住いの地方自治体の対応窓口に連絡した上で、所定の手続きを経て飼い主として飼い始めるのが良いでしょう。

なお、飼い主は、犬を取得した場合には、狂犬病予防法に基づき、所有者は30日以内に市町村長に対して飼い犬の登録をし、一年に一回狂犬病の予防接種をしなければならないので、注意が必要です。

2012年7月11日水曜日

ペットニュース 「犬と一緒に育つ赤ちゃんは病気に強い」、研究





yahooニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120709-00000048-jij_afp-int

【AFP=時事】犬が飼われている家庭で育つ赤ちゃんは、感染症や呼吸器疾患にかかるリスクが減るとの調査結果が、9日の米小児科専門誌「ピディアトリクス(Pediatrics)」に掲載された。

ペットの存在でストレスレベルが低下するとの研究も
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2868863/8723559?utm_source=yahoo&utm_medium=news&utm_campaign=txt_link_Tue_p1

 論文ではこの理由について詳しく説明していないが、毎日ある程度の時間を屋外で過ごす犬が周りにいることで、生後1年内の赤ちゃんの免疫力が高まる可能性があるとしている。

 猫でも同様の可能性が示されたが、その効果は犬より弱いようだ。

 フィンランドのクオピオ大学病院(Kuopio University Hospital)が行ったこの調査は、親が生後9~52週目に健康記録を取り続けた子ども397人を対象に行われた。

 その結果、犬や猫が飼われている家庭の赤ちゃんは、せき、喘鳴(ぜんめい)、鼻炎などの感染性呼吸器疾患にかかる確率が約30%低く、また耳の感染症にかかる確率も約半分だった。

 研究チームは、「動物との接触が免疫系の発達を助けることで、より整った免疫反応をもたらし、感染期間を短縮させるのではないか」と推論している。

 調査では、感染リスクの上昇が考えられる要因(母親による授乳や保育施設の利用、さらには親の喫煙や喘息など)を排除しても、犬のいる家庭で育つ赤ちゃんで感染症を発症する確率が著しく減少したことが確認された。また抗生物質の投与回数も少なかったという。

 先行研究では、ペットが子どもに与える恩恵についての意見が別れていた。恩恵などないとするものが存在する一方で、動物との接触が風邪や胃腸疾患を予防するとしたものなど、相反するものが見られた。

 研究チームは、今回の調査が出生後すぐの乳児のみを対象とした点で、先行研究とは異なっているとしている。【翻訳編集】 AFPBB News

(以上引用)

動物との接触で感染症のリスクが増えるのでは、というイメージを持ちそうですが、この研究は逆に、動物との接触によって感染症のリスクが減るという結果なのですね。

免疫の作用というのは不思議ですね。


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2012年7月5日木曜日

ペットニュース 横浜 小児病院にセラピー犬





NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120703/k10013282861000.html

がんなど重い病気と闘う子どもの不安を和らげ、治療を助けるとされる犬「セラピードッグ」が、横浜市内の小児病院で活動を始めるのを前に、2日夜、病院の職員を対象にした説明会が開かれました。

横浜市にある神奈川県立こども医療センターで活動を始めるのは、セラピードッグの「ベイリー」で、20日夜は、看護師の経験がある森田優子さんと一緒にセンターを訪れました。

医療センターの職員たちは、森田さんからセラピードッグの役割や接し方について聞き、早速、人なつこいベイリーと触れあっていました。

4歳のオスのゴールデンレトリーバー「ベイリー」は、オーストラリアで生まれ、ハワイで1年半、専門的な訓練を受けたあと、静岡県立こども病院で2年余り活動し、小児がんの子どもたちの不安やストレスを和らげる成果を上げたということです。

「ベイリー」は、今月6日から医療センターに常駐する予定で、セラピードッグが常駐する医療機関は国内では2つ目だということです。

県立こども医療センターの康井制洋総長は「つらい治療を受ける子どもたちの緩和ケアの一環として、人とは違うことができるのではないかと思い、来てもらうことにした」と話していました。

(以上引用)(画像はタイラー基金のサイトから)

ベイリーは、小児がん患者の支援団体「タイラー基金」が派遣しているセラピードッグだそうです。

タイラー基金 シャイン・オン!セラピードッグプログラム
http://www.tylershineon.org/ja/programs/shine-on-therapy-dog/

youtubeに、ベイリーの静岡県立こども病院での働きをとらえたドキュメンタリー番組がアップされています。

重い病気のため表情を失ったかのような子供が、ベイリーとの触れ合いによって笑顔になっていく様子は、感動的です。

神奈川県立こども医療センターでも活躍することを期待したいですね。


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2012年7月4日水曜日

マンションでのペット規制





Q:分譲マンションに住んでいます。居室内で猫を飼っていましたが、先日、管理組合より、ペット飼育が禁止になりましたとの連絡を受けました。管理組合の総会でマンションの使用細則が変更され、ペット飼育が禁止になったとのことです。一方的に変更されたことに不満がありますが、この連絡には従わなければならないのでしょうか?

A:
【マンションの使用に関する規則:管理規約と使用細則】
マンションには民法、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)等の法律による規制と、そのマンションの管理組合が定める管理規約、使用細則等による規制があります。

マンションには共用部分と専有部分があり、マンションの利用をどのように規制できるかは共用部分と専有部分で要件が異なる場合があります。

マンションの管理規約の変更は、管理組合総会の特別決議事項(議決権の4分の3の賛成が必要)ですが、使用細則の変更は、総会の普通決議事項(議決権の過半数の賛成が必要)とされるのが通常です。

【共用部分の使用に関する規制】
建物の共用部分や区分所有者全員の共有の敷地や付属施設の使用方法の多くについては、元来、それらの「管理の含まれる事項」として、総会の普通決議で決することができます(区分所有法第18条、第21条)。

したがって、共用部分や共有の敷地や付属施設についての使用規制は、使用細則で幅広く定めることができます。

【専有部分の使用に関する規制】
これに対し、専有部分は本来それぞれの所有者が、その区分所有権に基づき自由に使用および収益すべきものですから(民法第206条参照)、専有部分については、「建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」(区分所有法第6条第1項)を除き、元来、それぞれの所有者が自由に使用することができるのが原則です。

したがって、専有部分(敷地が分有である場合は敷地も含む)の使用に関して規制する場合は、規約に定めをおくことが必要であり、また規制できる事項も、区分所有者間相互において専有部分の管理又は使用を調整するために必要な事項に限られることになります(法第30条第1項)。

ただ規約で基本的な事項を定め、その範囲内での細則の決定を総会の普通決議に委ねることは、相当の範囲内において許されるものと解されています。

【ペットの飼育規制】
犬、猫等のペット飼育規制、ピアノ等の楽器の演奏時間の制限、専有部分の大規模な修繕・改修等の専有部分の使用に関する規制を規定する場合は、それらについての基本的事項を規約で定める必要があります。

国土交通省が定めるマンションの標準管理規約のコメントでも、『犬、猫等のペットの飼育に関しては、それを認める、認めない等の規定は規約で定めるべき事項である。基本的な事項を規約で定め、手続き等の細部の規定を使用細則等に委ねることは可能である。』とされています(標準管理規約・コメントp36)。

標準管理規約・コメント(国土交通省HP)
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/mansei/kiyakutantou.pdf

【ご質問の事例の場合】
ご質問の事例では、ペットの飼育の規制を使用細則に定めているのですが、これは有効な規制とはいえません。改めて管理組合総会を開催し、ペット飼育を禁じる旨を規約の中に盛り込むことが必要です。前述のとおり、そのためには総会の特別決議が必要です。

なお、実際には、マンションにおけるペットの飼育の問題は、規約等に定めたことだけで解決するわけではありません。地域猫問題と同様に、住民同士の話し合いを重ねることで、問題意識を共有し、それぞれのマンションの実情に即したルールを作っていくことが必要です。

地域猫問題に関する当ブログの記事
http://petlawtokyo.blogspot.jp/2012/05/blog-post_6509.html


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